アルツハイマー病と生活習慣病

アルツハイマー病』の背景には「高血圧・高血糖・脂質異常症・メタボリックシンドローム」などの 「生活習慣病」が関係していると考えられています。 高血圧・高血糖・脂質異常症などによって脳血管に動脈硬化が起こると血流が悪くなり、脳に新鮮な酸素や栄養が供給されません。 その結果、大脳白質という線維連絡網が損傷し、これがアルツハイマー病を招く原因になるのです。
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アルツハイマー病と生活習慣病

■アルツハイマー病

認知症の8割以上がアルツハイマー病

高齢化に伴い、近年急増著しい脳の病気が『認知症』です。 認知症とは、脳の知的機能のうち、まず記憶力が極端に低下し、日常生活が困難になる病気です。 一般に『ボケ』といわれる状態で、徐々に学習能力や思考力、判断力も失われていきます。 認知症は、発病の原因によってさまざまなタイプがありますが、主に「脳血管性認知症」「アルツハイマー型」に分けられます。 脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって脳の組織が破壊され、それが原因で発病します。

一方のアルツハイマー病は、現在まで原因が詳しく解明されていませんが、発病の仕組みの一部は明らかになっています。 一つは、脳の大脳皮質の中に老人班と呼ばれるシミができること。老人班は、βアミロイドと呼ばれるたんぱく質が、 脳を構成する神経細胞の外側に蓄積したもので、アルツハイマー病の脳により多く現れます。 もう一つは、別のたんぱく質によって、神経線維という塊が神経細胞の中に蓄積することです。 こうした現象が大脳に起こると、神経細胞が死滅してその部位の機能も失われ、アルツハイマー病を引き起こします。

日本における認知症の発病傾向は、1980年代まで脳血管性とアルツハイマーの割合は、ほぼ6:3で、 残りは両者の混合型とそのほかのタイプでした。ところが、現在では認知症の患者さんのうちアルツハイマーが約8割、 脳血管性が2割弱を占め、2000年には30数万人といわれたアルツハイマー病の患者数が、2010年には少なくとも 80万人を超えると予測されています。しかも最近では、65歳未満の若年性アルツハイマー病が増えていることも見逃せません。 中には40代や50代で発病する例もあり、新たな問題として注目されています。


■アルツハイマー病と生活習慣病の関係

生活習慣病やメタボの人に発病が目立つ

これまで国内外で行われたさまざまな研究によって、アルツハイマー病の背景には「生活習慣病」が関係している と考えられています。 つまり、生活習慣病の患者数に比例して、アルツハイマー病も増加の一途をたどってきたというわけです。 生活習慣病の中でも、とりわけ認知症と深い関係にあるのが「高血圧・高血糖・脂質異常症」などの病気です。 高齢になると老人班や神経原線維の蓄積といった脳の老化と共に、脳血管の動脈硬化も現れます。 脳血管に動脈硬化が起こると血流が悪くなり、脳に新鮮な酸素や栄養が供給されません。 その結果、大脳白質という線維連絡網が損傷し、これがアルツハイマー病を招く原因になるのです。 実際に、日本医科大学の研究では、アルツハイマー病の人の77%に、脳血管障害が確認されました。

高血圧も血管の老化を促しやすい生活習慣病です。 最近の米国における研究では、高血圧の患者さんの多くにアルツハイマー病が確認されると共に、 降圧治療薬によって発病を50%も抑制できたそうです。 つまり、アルツハイマー病の予防には、高血圧の治療が重要であると指摘されています。 また、血液中のコレステロールが過剰に増える脂質異常症も脳血管障害を招く危険要因です。 アルツハイマー病を引き起こす老人班や神経原線維の蓄積には、コレステロールの過剰摂取が関係していることも 突き止められています。国内外の調査の結果、糖尿病もアルツハイマー病を招きやすく、その危険度は、 糖尿病でない人の約2倍に上ることがわかりました。 これは、インスリン(血糖を調節するホルモン)が大量に分泌されることで、 βアミロイドが脳内に増加するためだと考えられています。 さらに、オーストラリアの研究グループの調査によれば、メタボリックシンドロームの人も、 そうでない人に比べてアルツハイマー病の危険度が3.2倍に高まると報告しています。

このようにアルツハイマー病は、生活習慣病による脳血管障害が関与していることは明らかです。 突き詰めれば、「アルツハイマー病は生活習慣病である」と考えられます。

【関連項目】
『高血圧症』
『高血糖症(糖尿病)』
『高脂血症・脂質異常症』
『高脂肪症(肥満症・メタボリックシンドローム)』