認知症の検査・診断

病医院を受診すると、認知症検査では、まずは「問診」が行われます。 症状や困っていることなどから認知症が疑われる場合に「認知機能テスト」が行われ、 何が原因になっているのかを確認するために「血液検査」「脳脊髄液検査」「画像検査」「神経心理検査」などの検査が行われます。
(*本文は下の方にあります)


■認知症の検査・診断

●認知機能テストや検査で、脳の状態が明らかになる

「認知症」が疑われる場合は一般的に、「問診」「神経心理検査」などの「臨床診断」のほか、 「血液検査」「画像検査」などが行われます。 「認知症」の多くを占める「アルツハイマー病」は、治療を受ける時期が早ければ、進行を遅らせることは可能です。 また、中核症状や、ストレス、環境要因などが結びついて起こる「BPSD(行動・心理症状)」が強くなると、 医療機関を受診させるのが難しくなることが多いため、なるべく早期に受診することが大切です。

◆問診

問診では、どのような症状があり、それがいつごろから、どのように現れてきたか、 既往症や現在の病気などについてが詳しく聞かれます。日常生活の状況や、本人や家族の病歴なども、大切な情報です。 些細なことと思われても、日常生活にどのような支障が現れているのかは、重要なポイントになります。 質問に対して、本人は記憶が抜け落ちていたり、質問をはぐらかしたりすることがあるため、 家族など周囲の人が付き添って受診しましょう。そして必要な場合は、付き添った家族が、 本人の症状や様子について、医師に伝えます。ただし、本人に代わってこたえる場合、認知症の人の”人としての尊厳” を傷つけないよう、説明の仕方には配慮してください。問診は診断のために最も重要なので、 症状が進んでいる場合には、周囲の人が日頃から症状や困ったことなどをメモしておき、受診時に持参して そのメモを見ながら答えると、診断に役立ちます。

◆認知機能テスト

認知機能がどの程度なのかを客観的に調べるために認知機能テストが行われます。 記憶力や理解力などが調べられます。患者は簡単な質問に答えたり、いくつかの言葉や数字を聞き、 それらを復唱するなどします。 例えば、場所や時間を把握する能力や記憶力を調べるために、年齢やその日の日付を訪ねたり、3つの名詞を覚えた後で、 簡単な計算を行い、計算前におぼえた3つの名詞を再び訪ねるなどのテストを行います。 テストの内容は、医療機関によって多少異なりますが、多くは「MMSE」「長谷川式簡易知能評価スケール改訂版(HDS-R)が基盤となっています。

▼MMSE
「今日は何日ですか?」「ここは何県ですか?」などの、11の質問に答えていきます。 30点満点で、一般に23点以下だと、認知症の疑いがあるとされます。 国際的に、最も広く用いられている簡易テストです。

▼長谷川式簡易知能評価スケール改訂版
年齢、時間、場所などの9つの設問に答えていきます。30点満点で20点以下だと、認知症が疑われるとされます。 これらのテストの点数を、認知症かどうかの判断の材料にします。ただし、点数だけではなく、 テストを受けている間の様子などのもよく観察され、それも判断材料になります。 さらに、視空間の認識や構成機能を見るために、「時計の文字盤と、支持された時刻をさす針を紙に描く」などの、 より詳しい検査が行われることもあります。

◇長谷川式簡易知能評価スケール改訂版

  • お歳はいくつですか?
  • 今日は何年何月の何日ですか?
  • 私たちがいるところはどこですか?
  • これから言う3つの言葉を行って診てください。後でまた聞きますのでよく覚えておいてください。
    1._______________(桜、梅など)
    2._______________(猫、犬など)
    3._______________(電車、自動車など)
  • 100から7を順番に引いてください。
    100→□→□→□・・・・・
  • 私がこれからいう数字を逆から言ってください。
    「6、8、2」「3、5、2、9」
  • 先ほど覚えてもらった言葉をもう一度行ってみてください。
  • これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何がったか言ってください。
    (時計・鍵・パソコン・ペン・硬貨など)
  • 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。

◆血液検査

血液検査からビタミンB12欠乏症や甲状腺機能低下などを鑑別

血液検査は、認知症を引き起こす内科的な病気の有無を鑑別するために行われます。 例えば、ビタミンB1の吸収が低下することによって生じたりする「ビタミンB12欠乏症」「甲状腺ホルモン」の分泌が低下する「甲状腺機能低下症」などの有無を、血液検査で調べます。 血糖値やLDLコレステロール値などをチェックし、生活習慣病の有無を調べておくことも重要です。

◆脳脊髄検査

脳脊髄液を調べて、髄膜炎などを見つける

脳と脊髄は骨に守られており、その周囲は「脳脊髄液」という透明な液体で満たされています。 この脳脊髄液を調べることは、慢性の「髄膜炎」など、認知症の原因となる病気を発見するために有用です。 そこで、腰椎に針を刺して、脳脊髄液を採取する検査が行われることがあります。 アルツハイマー病の診断に役立てるために、脳脊髄液の中に含まれる「アミロイドβ」「タウたんぱく」 などについての研究も進められています。ただし、現在のところ、認知症の診断に用いる場合は、健康保険は適用されません。

◆画像検査

脳の委縮や血流の状態などを画像化して調べる。

画像検査で見る脳の画像は、脳の形を調べる「形態画像」と、脳の働きを調べる「機能画像」に分けられます。

▼形態画像
脳の形を画像化してみることで、脳の委縮や脳梗塞などの有無、程度などがわかります。 検査法には、「CT(コンピュータ断層撮影)」「MRI(磁気共鳴画像)」などがあります。 CTでは、エックス線を多方面から照射することで、輪切り状の画像が得られます。 MRIは、磁気を利用して画像化する方法で、認知症の原因を調べる際によく用いられます。

▼機能画像
脳の血流や糖代謝の状態などの脳の働きを画像化する方法で「SPECT(単一フォトン断層撮影)」「PET(ポジトロン断層撮影)」などがあります。SPECTは、放射性医薬品を静脈注射した後に撮影し、 脳内の血流の状態を調べます。PETは、「陽電子(ポジトロン)」という粒子を放出する物質を含む薬品を 静脈注射した後に撮影する方法です。認知症の診断では、ブドウ糖によく似た物質である 「FDG(フルオロデキシグルコース)」を利用して脳の糖代謝の状況を調べます。 脳内のアミロイドβの蓄積状況をPETによって画像化する「アミロイドイメージング」も期待されています。 これらは、放射線を発する薬剤を使って、血流量やブドウ糖などの消費量を画像に表す検査で、 脳のどの部分がどの程度働いているかがわかります。

▼その他の検査
全身の状態を把握したり、生活習慣病の有無を確認するために行われます。 通常は、血糖値やコレステロール値など、健康診断と同様の測定項目が調べられますが、 必要に応じて測定項目が追加されることもあります。 例えば、物忘れなどの症状に加えて、最近体重が増加したなど甲状腺機能低下症の可能性が考えられる場合や、 胃の手術の経験があるなど、ビタミンB12の不足が起き易い場合には、 血液検査で甲状腺ホルモンやビタミンについても調べます。

【関連項目】  『認知症の画像検査』


画像検査