周囲と一緒に生活を維持(認知症)

・運動によって、「認知症」の予防が期待できる。
・患者さんが穏やかな気持ちで暮らせるように、周囲の人がサポートする。
・患者さんだけでなく、介護をする側も無理をしないことが大切。
(*本文は下の方にあります)


●認知症の患者さんの運動

運動で、認知症の予防が期待できる

「認知症の患者さんが生活の質を下げずに生活をするためには「適度な運動」「生活上の工夫(生活環境の調整や改善)」 「周囲の人の接し方」などの援助が必要です。

◆有酸素運動の効果

近年、ウォーキングなどの有酸素運動が、認知症の発症リスクを下げるという調査結果が幾度か報告されています。 予防のためには、息が軽く弾む程度の運動を10〜15分間以上続け、1日合計30分間、週に3回以上行うと効果が期待できる といわれています。認知症を発症してからも、適度な運動を行うことは、運動機能の障害の進行によって寝たきりになる時期を 遅らせるためにも勧められるからです。認知症の人が運動を行う場合、必ずまず担当医に相談してください。 「失敗しない」「体への負担が少ない」レベルを心がけます。高齢者であれば、散歩やラジオ体操などを行うとよいでしょう。 可能なら、家族などの身近な人も一緒に付き添ってください。散歩の場合、患者さんが昔から歩きなれた経路を選ぶと、 不安が少ないようです。
運動以外に、市販の計算ドリルを用いて簡単な計算をしたり、指先の体操をしたりすることも、認知症の進行を防ぐ と考えられています。ただし、「絶対によい」という方法はありません。患者さん本人が楽しく行えるかどうかを 第一に考えるとよいでしょう。


●生活上の工夫

患者さんの負担を減らす生活環境の調整や改善が必要

認知症の患者さんが不安なく暮らせるように、周囲の人が生活環境の調整や改善を図ってください。 例えば、次のようなことが挙げられます。

▼日付を明示する
患者さんからよく見える場所に、今日の日付をはっきり分かるように表示します。

▼場所を明示する
夜、トイレに行きやすいように、トイレの照明はつけっぱなしにしておき、ドアを開けておくなどして、 場所を認識しやすくします。場所を示す看板を目立つ場所に付けるのもよいでしょう。

▼薬の飲み忘れの予防
1回分ずつの薬を入れる袋がついたカレンダーや、1回分ずつ区切られた薬箱などを利用するのもよいでしょう ただし、「今日は何月何日が」がわからない患者さんもいます。道具を過信せずに本人の状態に合わせて 手助けをするようにしましょう。手助けが得られない場合には、薬を使わないという選択もあります。

●周囲の人の接し方

患者さんができないことは周囲がフォローする

◆質の意コミュニケーションを

認知症の患者さんは自信を無くしていたり、大きな不安を抱いていたりしています。 そのような気持ちを軽減するような接し方が大切です。特に会話をする場合、本人の状態に理解を示して、 無理のないコミュニケーションを図るようにします。具体的には次のことに気を付けましょう。

▼笑顔でゆっくり話す
話の内容がよくわからなくても、相手が笑顔だと患者さんは安心し、楽しいと感じやすくなります。

▼短く、簡単に話す
例えば、「着替えて出かけよう」と言わずに「着替えよう」「出かけよう」と分けるなど、簡潔に話すと、理解しやすくなります

▼先回りして言う
例えば、料理の段取りを忘れた場合など、次の手順を先回りして言ってあげると、患者さんが迷いにくく、 スムーズに行動できます。

▼できないことや失敗を非難しない
患者さん自身が、できないことや失敗に傷ついています。追い打ちをかけるように「なぜできないの」などと非難しないで、 失敗を一緒に明るく笑い飛ばしたりして、できるだけ失敗をしないで済むように、フォローするようにしてください。

◆引きこもりへの対応

何をするでもなく、一日中家の中で過ごす患者さんの場合、なぜ外出や趣味をやめたのかを考え、再び外出できるように フォローする方法を考えてみましょう。 例えば、スコアを覚えられないため好きなゴルフをやめてしまった人では、家族がその人の友人に状況を話して、 代わりにスコアを数えてもらったり、キャディさんにカウントを任せたりすることでプレーに集中でき、 再びゴルフが楽しめるようになったケースがあります。 また、周囲の人が、認知症とはどんな病気なのかを理解して、患者さんも心理的な負担を減らすことが大切です。 「介護は家族の義務」「正しい介護をしよう」などと力まずに、”家族は一緒に暮らす人”と考えて、 自分も無理なく心身ともに苦痛のない生活や余裕のある生活を続けられるようにしてください。 大変な場合は、担当医などにも相談しましょう。そして、患者さん共々楽しく毎日過ごせるようにしてください。