認知症と紛らわしい病態

薬によって認知機能障害が起こることがあります。現れる症状の多くは「せん妄」で、 基本的には、薬を減らしたり中止したりすることで改善します。 しかし、薬が不規則に飲まれていたり、似たような作用の薬が複数の医療機関から処方されている場合も多いので、 まず、かかりつけ医の先生に相談してみましょう。
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■認知症と紛らわしい病態

●認知機能障害を引き起こす主な薬

▼ベンゾジアゼピン系薬
一般には「睡眠薬」「精神安定薬」とも呼ばれています。 特に高齢者では、転倒を起こすこともしばしばあります。

▼抗精神薬
「定型抗精神病薬」「非定型抗精神病薬」があり、前者のほうが比較的、認知機能障害を 引き起こしやすいといえます。

▼抗コリン薬
脳内の「アセチルコリン」を抑制する働きがあり、それによって認知機能が影響を受けます。

●認知症だと思い込んだり、悩む「うつ」

うつ病では、認知症とよく似た症状が現れることがあります。 特に、症状として「うつ症状」が目立たず、記憶力や注意力、判断力の低下などが目立つと、認知症のように見えます。 さらに、表情が乏しくなり、動作もゆっくりになります。 通常、認知症の人には病識がなく、”自分は認知症ではないか”と疑って受診する人は、うつ病であることがしばしばあります また、アルツハイマー病ややレビー小体型認知症にうつ病が合併し、診断が大変難しいケースもあります。


●意識障害が一時的現れる「せん妄」

認知症と間違えやすいものとして「せん妄」があります。 せん妄とは、脳の機能が一時的に低下することによって生じる急性の意識障害で、 現れる症状から認知症と間違われることがあります。 せん妄が起きたときには、注意を集中させたり、それを持続させたりすることが困難になります。 また、「不穏になる」「刺激を受けやすい」「暴言を吐く」「幻覚が現れる」「正常な理解や判断が困難になる」 ことが見られます。

症状の現れ方や原因によって、せん妄はいくつかに分類されます。睡眠のリズムが乱れて昼夜が逆転し、 夜間に症状が出現するタイプを「夜間せん妄」といいます。 また、アルコール依存症のある人が急に断酒した時に起こるものは、「薬剤性せん妄」と呼ばれます。

せん妄の症状は認知症に似ているうえ、認知症にせん妄が合併することもしばしば合併することもあります 認知症では、夕方に焦燥、徘徊、興奮などが現れる「夕暮れ症候群」が見られることがありますが、 夜間せん妄が関係しているともいわれています。 現れている症状が、認知症によるものなのか、せん妄によるものなのかをはっきりさせておくことは大切です。 認知症とせん妄はよく間違われますが、異なるポイントもあるのです。

せん妄であることが明らかになれば、それに応じた治療が行われます。 せん妄の治療の基本は原因を明らかにし、それを取り除くことです 薬が原因になっていることもあれば、環境の変化や不安が原因になっていることもあるとされています せん妄は、早期に治療ができれば、ほとんどの場合治るとされています。 そのためにも、早く受診することが大切です。